8月の薬草(ムクゲ)

やっと梅雨が明けたと思ったら、まさに梅雨明け十日、毎日溶けてしまいそうな暑さで少々参っています。
アブラゼミが一斉に鳴き出し、ムクゲの花はこの焼けつくような日差しをものともせずに咲いています。高速道路の路肩に咲くこの花に、なんだかほっとさせられます。数年前の大雨の後も、風に揺れるムクゲは何事もなかったかのように咲いていました。
 
大雨に耐えし道端の槿かな  
 
 
ムクゲ(槿)Hibiscus syriacus   アオイ科
 
生薬名:木槿花(モクキンカ)、木槿皮、木槿子
生育場所:土地を選ばず各地に植栽されている落葉低木
利用部位:花、幹皮、果実
薬効と利用法
下痢止めに花を煎服、水虫に幹皮を煎服、頭痛、咽頭痛には果実を煎服
 

 
お茶事では夏になくてはならない花で、これ一輪で濃茶席の花にもなり大活躍です。
枝分かれは少なく約3mの高さになり、卵型の葉には鋸歯があり互生、5弁の花弁を持つ花の色は白、赤紫などで葉えきに1個ずつつき、朝開いて夕方にしぼみます。このことから「槿花一朝(きんかいっちょう)の夢」と人の世のはかないことにたとえられていますが、実は翌日もまた開くのです。
また、韓国では「無窮花(ムグアンファ)」といい、国の繁栄を意味するということで国花になっており、「ムキュウゲ」が転訛してムクゲになったともいわれています。
 
「道のべの木槿は馬に食はれけり」 野ざらし紀行 松尾芭蕉