10月の薬草(ヤクシソウ)

秋の花が次々に咲いています。そして、結実の季節です。店先には柿、梨、栗とたくさんの果物が並んでいます。そんな中で、今月の薬草に選んだのは・・・・

当社と同じ薬師如来にゆかりの薬師草。茎葉の形を薬師如来の光背になぞらえて名付けられた黄色い花で、私が薬草観察を本格的に始めたとき、この花の群生と出会いました。その後は、同じ場所でもあれほどの群生に出会うことはありません。因みに、当社、薬師丸は私の父の故郷の字で、医療をつかさどる仏様である薬師如来にあやかり、父の命日に開局しました。そして、司馬遼太郎の小説、その中でも特に私の好きな「菜の花の沖」で高田屋嘉平が最初に持った船が「薬師丸」なのです。

 

 

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クシソウ(薬師草)Crepidiastrum denticulatum   キク科

 

生育場所:山野、草原、路傍に生える越年草

利用部位:全草

薬効と用い方:民間薬では乾燥させた花をごま油につけて皮膚の腫れ物に塗布

 

10月から11月に黄色い花を咲かせます。葉が茎を取り巻くようについていて、その葉の形が薬師如来の光背に似ていることがこの名の由来という説があります。

その葉を是非齧ってみましょう。中国名を「苦賈菜(くこさい)」というのがよくわかります。

草丈30~100cm、茎は直立して枝分かれし紫色の斑点があります。根茎は叢生、花の時期にはなくなります。茎葉は互生し、長楕円形で長さ5~10cm、耳状になって茎を抱き、鋸歯があります。秋に茎頂と上部の葉えきに数個、黄色い頭花を固まってつけます。花は上向きですが、咲き終わると下向きになります。

2013年、長谷ふれあいロードの500m付近の斜面に群生がみられましたが、その後はずいぶん少なくなっていました。ヤクシソウは裸地に真っ先に出てくるパイオニア植物なので、あの斜面も次の世代へと移ったのでしょうか。