5月の薬草(ノアザミ)

明後日は恒例の東区薬草ハイキングです。

私が言い出して、三日月山で2回、長谷ダムふれあいロードで4回。市政だよりと薬局のポスターで市民に呼びかけて、たくさんの方に参加してもらっています。ただ、準備を万全にしても、天気ばかりはままならず・・・・昨年もどしゃ降りで、それでも血行、喜んでもらいました。

当日は、実習中の学生も予習をして大活躍。今年も頑張ってくれることでしょう。

 

さて、この時期、コースとなる長谷ダムふれあいロードでは、様々な薬草を見ることができますが、コースの中ほどで華やかに咲いて、目を楽しませてくれるのが、ノアザミです。でも、華やかなだけに、心ない人に切り取られることも多く、今年もドキドキしながら下見に行きました。

「やられた!!」

やはり、予定していた道端のりっぱな株は、先端の花の部分が切り取られています。でも、そのまま歩いていると、ありました。手の届かない谷間にシャクと共演しています。やれやれ・・・

 

スイスの山裾をハイキングした時も、たくさんのアザミの種類に出会いました。広大な自然の中に溶け込んだ美しさでしたが、日本の山野草の中に、何ともバタ臭い、こんな花が紛れ込むのも、自然の面白さですよね。

ノアザミ

ノアザミ(野薊)Cirsium japonicum    キク科

生薬名大薊(タイケイ)

生育場所:野原で見られる多年草

利用部位:根

薬効と用い方:民間薬として利尿、神経痛、健胃に煎服

はれものに生の根をすりつぶして患部に直接はる

 

鮮やかな赤紫の花と棘が特徴的なノアザミは根をキンピラや漬物、若芽は天ぷらや胡麻和えとおいしい山菜として古くから食べられてきました。またヨーロッパでも近種のアザミは肝臓や消化薬としてはギリシャ時代から用いられたという記述もあります。

「あざむ」には「驚きあきれる」「興ざめする」などの意味があり、きれいな花なので摘み取ろうと掴むと、鋭い棘に驚きあきれ興ざめするというところから「アザミ」となったとか。

草丈50~100cm、根は円錐形、茎は直立して上部で分かれ、根葉は長さ15~30cmで5~6片に羽状中裂しており、茎葉は同様の葉が茎を抱いています。夏に紅紫色の頭花を枝先に咲かせます。

三日月山山頂、長谷ふれあいロードに自生しています。

 

「口をもて霧吹くよりもこまかなる雨に薊の花はぬれけり」長塚節

九州大学ゆかり(九大病院の結核病棟で療養、死去)の長塚節の歌です。