2月の薬木(スギ)

インフルエンザの爆発的な流行とオリンピックの話題で、あまり騒がれていませんが、今年もやっぱりスギ花粉の時期が来てしまいました。ずっと寒い日が続いていたので、例年よりも遅いものの、春めいてきた先週からは、ドレミ薬局にも花粉症の患者さんが押し寄せています。

幸い私はスギ花粉のアレルギーではないので、この時期も平気でゴルフを楽しみますが、そこで見る枝先に黄色い花を膨らませ、たっぷりした枝が風で揺れる様には、ゾッとさせられます。

見事に植林された杉林は、美しく、日本の林業の象徴なのに、杉材が十分生かされないまま、花粉だけをまき散らす今の状態には、何ともやりきれなさを感じてしまいます。

 

 

スギ(杉)Cryptomeria japonica   ヒノキ科

 

生育場所:用材として広く植栽される常緑高木
利用部位:樹幹;杉木 樹皮;杉木皮 葉;杉葉 種子;杉子 木タール;杉木油
民間薬:脚気に樹幹、樹皮を煎服、やけどに葉、種子を煎服、外用

今や花粉症の原因となる有害植物の代表のスギ花粉、材としての需要が高く、戦後大量に植林されたこと、そして、それが成長して大量の花粉を遠くまで飛ばすことで起こっています。
幹は真っ直ぐ伸びて10m以上に、樹皮は褐色で縦に裂けます。葉は基部が枝に密着して針状に並びます。雌雄同株、雌雄異花で雄花はフットボールのような楕円形で枝先に密生し、風で花粉を飛ばします。
スギは日本の固有種で、真っ直ぐ伸びる美しさは伊勢神宮に代表される格式のある神社には欠かせません。和名の由来も真っ直ぐの木「直木(スキ)」から、傍らにはびこらず上へ進み上がる木「進木」からとも。また、長寿で大きくなり、香椎宮の綾杉、屋久島の縄文杉など各地に巨木があります。又、日本酒とは縁が深く、杉樽に貯蔵して香りをつけ、杉玉を軒先に吊るして新酒ができたことを知らせました。