6月の薬草(ドクダミ)

やっと梅雨に入った。

決して好きな季節ではないが、今年はとにかく雨が少ない。

4月に長谷ダムふれあいロードで薬草観察をした時、すでに今まで見たこともないダムの底が見えていた。にもかかわらず、その後も一向にまとまった雨が降る気配もない。こんなで田植えができるのかしらと、素人ながら心配している。

 

梅雨の季節、紫陽花が見ごろを迎えているが、私が選ぶのは地味だが、とても可愛いドクダミの花。

可愛くてしかも薬効もあるというすぐれもの。

福岡市薬剤師会のホームページを見た中国からの留学生から、

「母国でも親しんだ花です。どこで見られますか」

と問い合わせがあったが、あまりにもどこでもあって、でも昔ほど家のそばでは見られず、ましてや、群生しているのは・・・で、即答できなかった。

 

小さいときは厠の傍の日の当たらないところに茂っていて、草取りをすると手が臭くなってしかも取りにくくて、嫌いで仕方がなかった。でも、今見ると、なんてかわいい花、そして葉っぱなんでしょう。

 

 

ドクダミ Houttuynia cordata   ドクダミ科

生育場所:原野、道端に普通に見られる多年草

利用部位:全草;局ジュウヤク(十薬

民間薬:利尿、緩下、血管強化に煎服、生の葉は化膿性腫れ物、鼻炎に外用

漢方薬:五物解毒湯

 

霊園近くで見つけたドクダミ、これは草全体に強い臭いがあり、筆者の幼少時にはトイレの傍にはびこっていた嫌われ者でしたが、最近は街中で見る機会が少なくなりました。夏に咲くペンキを塗ったような白い十字の部分は花びらではなく葉が変形したもの(総苞片)で、中心の穂の部分は小花が集まったもの(花穂)です。草丈15~35cm、茎は直立で分枝、葉はまばらに互生して広ハート形で先は短く尖り暗緑色です。乾燥するとこの臭いはなくなりますが、ベトナムでは生の葉を魚料理に使うそうです。

独特の臭いから何か毒でも入っているのではないか?ということからドクダメ(毒溜め)がドクダミに転訛しました。また江戸時代貝原益軒の「大和本草」の中に「十種の薬の能ありて十薬となす」という記述があります。