読書日記その16「僕が殺した人と僕を殺した人」東山彰良著

読書欲が止まらない。新聞の書評をみて取り寄た本が2冊、まだ積んだままなのに、友人が貸してくれたこの本に取り掛かり、夢中になってしまった。

この作者のものは、直木賞受賞の「流」も読んでいる。

 

冒頭、2015年、デトロイトで連続殺人鬼サックマンと少年が出会うシーンから始まる。間一髪で少年は危機を逃れ、サックスマンは逮捕される。そして、1984年に遡って話が始まる。

 

場所は台湾、1984年、13歳の僕ユン、同級生の牛肉麺屋のアガン、頭はいいが筋金入りの不良のジェイ、そしてアガンの弟ダーダという4人の少年の楽しく、バカで、美しく、そしていたましい物語。それはスティーブン・キングの「スタンドバイミー」を彷彿とさせる。その小説を読んだ30年以上前、父親に虐待される少年という存在がショックだった。今回のジェイも父親から、しかし継父からの虐待を受けるわけだが、私もこの長い間に、薬剤師としての長いキャリアを重ね、心療内科の処方箋を受けて、もっと悲惨な事実をたくさん知ることになり、もう驚かない。

僕は兄モウの死を経験し、それでうつ病を患った母、そしてその再生のために両親は渡米、僕ユンはアガンの父アホンに預けられ台湾に残る。太っちょアガンとダーダは突如、牛肉麺屋を切り盛りしていた母親が男と失踪、太平楽で暮らしていた父アホンはだんだん疲弊していき台北を離れることとなる。ジェイは継父に繰り返し虐待を受け続けている。

その年の夏、マイケルジャクソンのスリラーが流行り、4人でダンスの練習に明け暮れる。楽しい充実した時間。でも、それはいつまでもは続かなかった。

危なっかしい彼らの行動をはらはらしながら読み進み、とうとうバカな計画を実行することに。しかし、それは思いもよらない悲劇を・・・・

 

そして、また2015年のデトロイトに戻ると、サックスマンの弁護をするため、やってきたやり手の弁護士。それは、成長したジェイだった。

ここで、サックスマンは誰か、やっとわかった。

少年時代の僕はユンだったが、2015年のわたしは・・・

少年の危うさ、純粋さをいやというほど感じるお薦めの少年小説である。