茶の湯ワークショップ(その5)

今月は薄茶点前の後半。

お茶を出した後、茶碗を取り込んで仕舞いつけ、拝見まで。

亭主は初めての引き柄杓、客付きに回ること、そして拝見後の問答など。

一方、客の方も、「お仕舞ください」「お棗、お茶杓の拝見を」とタイミングよく出さなければいけないので大変。でも、それがおもしろい。

皆、少しずつその面白さを感じているようで、ほかの人のお点前をしっかり見ているし、その季節の銘はどんなものがあるのか、わいわいがやがやと賑やかだ。

それぞれが、いろんなところに興味が出てくれば、それが合わさって更に楽しいお稽古になるだろう。

 

 

茶の湯ワークショップ(その5)

 

真(しん)・行(ぎょう)・草(そう)

茶の湯の世界では、よく「真・行・草」という言葉が使われます。これは、書道の筆法である「楷書・行書・草書」という3つの格を茶の湯の世界に当てはめたものです。

たとえば道具では、中国伝来のもので高貴な人々や神仏の茶を奉るときに使用する台子や皆具などは「真」の格の道具となります。それら唐物に対して、土の趣の国焼の陶器や竹、木の素材を生かした素朴な道具類などは、「草」の格、その中間が「行」の格ということになります。

この分類の仕方には、日本人ならではの外来文化の受け入れ方が見られます。本来の形を崩して和風化したり、思い切って簡略化し別のものに身をやつしたような草化という変化こそが日本人の懐の深さかもしれません。茶道ではこの3つの格付けを道具類だけでなくお辞儀や帛紗捌きなど様々な場面で使います。

 

茶席の道具:花

もちろん花は道具ではありませんが、掛物の次に花入とともに拝見する大切なものです。「花は野にあるように」季節のものをあるがままの姿で見せるよう心がけます。

豪華に咲き誇る花ではなく、楚々と開きかけたやさしい花、見た瞬間に何とも言えない風情が感じられるのが理想ですね。香りの強いものは茶の味に影響するので適しませんし、一年中みられるものも好まれません。準備するのに最後まで心配し続けるのが亭主なので、花が褒められることはうれしいものです。

 

【雪月花】

元は白居易の詩「寄殷協律」の一句「雪月花時最憶君」による語

四季の移り変わりの中にある自然美の総称で、雪月花を感じるところから茶禅一味の風雅の道が開けます