5月の薬草(チガヤ)

近くの香椎浜のこの季節は陽が昇ると共に魚が飛び跳ね、渡り鳥達がいなくなった干潟を鷺たちが悠々と過ごしている。

チュウダイサギ

 

アオサギ

 

早々に終わってしまった藤の花に代わって、今はセンダンのやさしい色の花が咲き始めた。

 

 

楝(おうち)咲く三本残りしこの浜に

 

以前は浜の主役で、この時期は見事な花を、そして冬場はたくさんの実をつけて楽しませてくれていたが、遊歩道が整備されるにつれてだんだん数を減らしている。この控えめな花の色こそ楝色(おうちいろ)。

 

 

日本の色は藤色、すみれ色、藤紫、紫苑色、竜胆色、桔梗色、菖蒲色(あやめいろ)、そして楝色と様々の紫色を花の色で表している。

 

砂浜ではマツバギクハマヒルガオが競って咲いている。

 

 

 

堂々としたハマウドも花開く直前の凛々しい姿を見せてくている。但し、それも1本だけ。

 

 

これから夏にかけて、オカヒジキやハマボウは5年前の観察ではたくさん見ることができたが、さて、今年は・・・

環境の整備って、自然を壊して人間に都合のいいようにすること??

 

さて、遊歩道と車道の境目に以前は気づかなかったチガヤが群生している。今は穂を開く前のシュッとした青年の姿、あと1か月後には穂を開いたボソボソのおじいさんの姿で風になびいていることだろう。

 

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チガヤ(茅)Imperate cylindrica   イネ科

生育場所:草地、道端に群がって叢生する多年草

利用部位:根;茅根(ボウコン)

民間薬:むくみに煎服

漢方処方:急性腎炎方

 

サトウキビに近縁で根に強い甘みがあり、葉が茂る前に出す花穂も甘みがあります。別名ツバナ。葉は茅葺屋根の材料となり、穂は火付け石で火を起こすときの火付け剤として用いられました。

草丈30~80cm、根茎は長く地中を這い、茎は直立してやや細く節に毛があります。葉は線形で長さ20~50cm、初夏に茎の頂に円柱状の花穂をつけます。

 

「茅の輪くぐり」が住吉神社などの夏越祭で行われますが、これには次のような話が伝わっています。昔素盞鳴尊(すさのおのみこと)が旅の途中で兄弟に宿を求められたとき、弟は豊かな生活をしていたのに断りました。兄の蘇民将来は貧しい暮らしをしていましたが厚くもてなし、後日、素盞鳴尊が茅の輪を身につけることで災厄を免れる事ができると教えたとか。これは茅の旺盛な生命力が神秘的な防災の力を持つと考えらたからでしょう。

また、今では見られなくなった茅葺屋根の茅というのはススキの別名でチガヤ、ススキの総称、ほかに稲藁も用いられました。