8月の薬草(サルオガセ)

夏休みももうすぐ終わり。子供たちはコロナ禍の中、どう過ごしているだろう。

なかなか薬草観察もできない昨今、私の小学生の頃の夏休みの思い出のひとつ。

小学5年生の夏休み、私は札幌市立幌南小学校に通っていて夏の林間学校の舞台は野幌の原生林(今は道立自然公園野幌森林公園になっているようだ)。そこは経験したこともない深い森で、その中で見た、まるでのりひびに育つ有明海の海苔のような枝に垂れ下がったものが不思議で仕方なかった。それが、樹木に着生しているサルオガセだとの説明でサルオガセというその不思議な語感とともに、強く印象に残った。

 

それから40年近く、サルオガセと出会うことはなく過ごしてきたが、真夏の菊池渓谷でその姿を再び見たとき瞬時に小学生の時の記憶がよみがえり「サルオガセだ!!」と叫んでしまった。

 

 

そして、一昨日の南米旅行でもペルーの山で出会うことになる。バスの窓から見る木々の景色の中に気になるものが。ガイドが「何かわかる?」との問いに、「もしかしたらサルオガセ?」

まさかこの地で会おうとは????

ペルーの色鮮やかな民族衣装、その染色の原料としてサルオガセは欠かせないものだとの説明だった。

 

 

 

 

サルオガセUsnea    サルオガセ科

 

生育場所:山林

利用部位:全草;松蘿(ショウラ)

民間薬:利尿、去痰に煎服

 

ブナ林などの落葉広葉樹林、亜高山の針葉樹林の霧のかかるような場所に垂れ下がって着生する地衣類の総称で菊池渓谷の流れの傍で見ることができました。

これは菌類と異なり樹木から栄養分はとらず、空気中の水分と光合成で自活していて、木を腐らせることはあるません。まさに霞を食って生きているわけです。

なぜサルオガセというのか、調べてみたらサガリヲゴケ(下緒苔)が転じたもののようでお猿さんとは関係なさそうです。