着物が大好きな私。夏ならではの楽しみは浴衣や絽など、この季節しか纏えない涼しげな着物を、実際は暑いのに涼しい顔をして着こなすこと。宮古上布、八重山上布などの沖縄の麻の着物は憧れているもののまだ手に入らない。
その憧れの上布の原料となるのがカラムシだ。志賀島の志賀海神社から潮見公園展望台に続く道の側ではカラムシの群生が今頃はは花を咲かせているだろう。イラクサ科なので、見るからにジカジカしそうで触る気にはなれないが、これが日本人とは切っても切れない麻織物になるわけだ。今でこそ麻といえばリネン(亜麻)だが江戸時代に綿栽培が始まるまでは、苧麻や大麻から作る麻が主流だったとのこと。
確かに今年の大河ドラマ「光る君へ」をみても、あの衣装、羽織っているのは麻に違いない。江戸時代の武士の正装の裃のあの張りも麻ならでは。
カラムシ(苧)Boehmeria nivea イラクサ科
生育場所:原野に生える多年草
利用部位:根茎;苧麻(チョマ)
民間薬:利尿に煎服、はれものに生の根を砕き外用
下関の遺跡からは紀元前300年の弥生時代のカラムシの繊維による布の断片が出土している日本最古の繊維植物で、小千谷縮、越後上布、宮古上布の原料です。日本書紀に持統天皇が奨励すべき植物として詔を発したという記述もあり、上布は朝廷などに上納する布の意味で、良質な麻織物などをいいます。
茎は1~1.5mにまっすぐ伸びて粗い毛があり、鋸歯のある大きな卵円形の葉が茂ります。歯の裏側は綿毛が密生していて白く、初秋に目立たない小さな花が房状に咲きますが、これは花粉症の原因にもなります。
名の由来は茎(から)を蒸して繊維をとることからカラムシとか。
志賀島で出会いました。