12月の薬草(ジャノヒゲ)

霙の舞う寒い年末。今年も残すとこ数日。

街角はクリスマスのシクラメンやポインセチアのあとは、正月用のセンリョウやマツの緑や赤。

でもひとたび外を歩くと枯れ野が広がるばかり。その寂しい景色の中で三日月山の登山道では、アオキの赤い実、そして足元ではジャノヒゲの瑠璃色の実が「見て!!」とばかりに呼び掛けている。


ジャノヒゲ(蛇の髭)Ophiopogon japonicus   キジカクシ科       

生育場所:山野、また植栽される常緑の多年草

利用部位:根の肥大部;局バクモンドウ(麦門冬)

民間薬:滋養強壮に煎服

漢方処方:清心連子飲、麦門冬湯、温経湯、辛夷清肺湯、釣藤散、滋陰降火湯、炙甘草湯

三日月山中腹でたくさん見ることができます。

細い葉を蛇のヒゲにたとえていますが、蛇にはひげはありませんよね。それで別名が「龍のひげ」、根を掘ってみると丸い塊があり、これを使います。同じように塊根のあるものにヤブランがありますが、これは葉の幅が1cmもあり花が上向きに咲き、実も黒色なので区別できます。

葉は根生で叢生し、細く長さ30~40cm。夏に葉の間から花茎を1本出し、淡紫色の鏑状花をつけ、まん丸の種子は熟すと藍色になります。

万葉集にも詠われている植物で、根が特徴であったことがわかります。

「あしひき山菅の根のねもころに我はそ恋ふる君が姿に」