読書日記その5 平野啓一郎著「マチネの終わりに」 

今更恋愛小説なんて・・・・

と思いながらも、一月物語で魅了された平野啓一郎さんの小説ということで手に取ってみた。

私の読書は寝床に入った30分という習慣なのに、1ページ目から完全に引き込まれてしまった。

とにかく文章が美しい。心の動きの深さ、複雑さ、繊細さが本当に美しい日本語で表現されて、読むことが本当に気持ちいい。

主人公は天才ギタリストの蒔野とジャーナリストの洋子。初めての出会いでひかれていくふたり。二人は東京とバグダッドと離れていてもメールやSkypeで思いを深めていくのだが・・・・・

この小説を読んでいると、ある場面では素晴らしいギターの演奏まで聞こえてくるような、そして別の場面では自爆テロの映像をみているような、幸せになったり、せつなくなったり、不安になったり・・・・

こちらの感情を揺り動かしてくれる。

魅力的な主人公ふたりの豊かな知性と感性のほとばしりに気持ちよく浸った1週間だった。