熊本三角にある「京都大学野生動物研究センター熊本サンクチュアリ」を訪ねた。
ここには51にんのチンパンジーと6にんのボノボが暮らしている。その中にC型肝炎の発見、治療に使われたチンパンジーたちも交じっている。でも、彼らはC型肝炎に感染させられたまま何の治療も施されてない。そんなことから始まった
クラウドファンディング『ウィルスの医学的実験を受けたチンパンジーたちに、治療薬を購入したい』に寄付したリターンとして、「施設内をグループで見学するプラン」の権利を得た友人Mが誘ってくれた。
熊本駅からレンタカーを走らせ海岸線を走る県道から目的地へと左折した途端、とんでもない急坂。「どうぞ対向車が来ませんように」と祈りつつ、無事目的地へ到着。そこで、研究者のHさんと獣医師のMさんが待っていてくださった。
広い檻にグループ分けされて暮らす彼ら、私達が近づくと威嚇したり水を飛ばしたり、それはもう賑やかで・・・・
でも、こんなふうに人に反応するのは人に飼育されたもので、野生のものは平然としているとか。私達に強さを誇示するやつは、群れの中では弱虫だったり、「いいかげんにしろ!」と叱られたりしてるらしい。
移動の途中は植物観察。施設は林の中にあるので、敷地内の植物で好物を探したり、植えたり。トベラ、スタジイ、ヤマハギ、アカメガシワは好物だそうだ。今はビワの実がなって喜んでいる。アーモンドの実ももうすぐ熟しそう。
昼寝している屋外のタワーの側にはタラが茂っていたので、彼らはまだタラの芽の美味しさは知らないようだ。
日本ではここだけにしかいないボノボは何だか田舎のおばあちゃんに会っている気分。つい手を伸ばしたくなるが、「それは危険!!」
全身ばねの彼らの力はとても強く、攻撃は噛みつきなので、飼育者には指を嚙みちぎられた者が多いと聞く。
チンパンジー病院も見学。心不全で死亡するものが多く、心電図やエコーも備えられ、特に携帯の心電図は指サックに電極が接続され、飼育員さんが胸を触っただけで心拍数くらいはとれるよう工夫されている。薬もβブロッカー、経口避妊薬などが粉末で調剤されている。これはさつま芋のお団子に仕込んだりしてのませるそうだ。
ここにいらっしゃる皆さん、面白いエピソードがたくさんで、愛情をもって彼らに接していらっしゃるのが伝わってくる。その大変な努力に頭が下がる。何とか応援したいという思いでサンクチュアリをあとにした。