7月の薬草(ツユクサ)

梅雨明け間近、いよいよ暑い暑い夏がやって来る。
で、この季節の花は・・・・

夏の花といえば、熱帯のジャングルに咲く花や、沖縄のハイビスカスなど、強烈な色彩の花を思い浮かべがちだ。でも、日本の夏の花を挙げてみると、アサガオ、ハス、ツキミソウ、ムクゲ、ハマボウなどなど、どれもこれも、やさしい花ばかり。

その中で、ふつうに道端に見られるツユクサも、青い色が涼しげ。その上、朝露をつけての姿、いいですよね・・・・

このきれいな青色、退色しやすいのが難。昔は浮世絵に使ってあったそうで、古い時代の浮世絵の青色は、そのために色あせてしまっています。
葛飾北斎が高価な『べろ藍』を使って、富嶽三十六景を描いていますが、鉱物系の染料コバルトを使って初めて、時代を超えた美しい青が得られました。

ツユクサ(露草)Commelina communis   ツユクサ科

生薬名:鴨跖草(オウセキソウ)
生育場所:草地にみられる一年草
利用部位:全草
薬効と用い方
民間薬として解熱、下痢止め、利尿に煎服。

染める「ツキクサ」からこの名はついたとか。この青色はアントシアニン系の化合物で、ついてもすぐ退色するという性質をもつため染め物の下絵を描くときこれを使うそうです。
草丈15~50cm、茎は基部で地を這った後分枝し、上部は斜めに伸びていきます。葉は2列互生し、卵状皮針形で柄はありません。
朝露を受けて咲き始め午後になるとしぼんでくるため、そのはかなさを詠んだ歌が万葉集にも残されています。「月草」「蛍草」「青草」「藍草」「帽子花」などたくさんの別名を持つ身近な花で、長谷ダムふれあいロードの赤い橋の傍で見つけました。

「月草のうつろいやすく思へかも我が思う人の言(こと)も告げ来ぬ」大伴坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおいらつめ)