12月の薬草(センダン)

 

我が家のそばの香椎浜の海岸には、たくさんのセンダンの木が、今はすっかり葉を落としています。鳥もこんな地味な色の実には惹かれないのか、いつまでも残っていて、浜の景色を作っています。

初夏の豊かな房をなす楝色の花も見応えがありますが、その後の緑色の実、そして冬のこの景色と四季折々の姿を見せてくれます。

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センダン(栴檀)Melia azedarach     センダン科

生薬名苦楝皮(クレンピ)苦楝子(クレンシ)川楝子(センレンシ)

生育場所:山野、または庭木として植栽される落葉高木

利用部位:樹皮、果実

薬効と用い方:回虫、条虫の駆除薬として煎服

 

栴檀といえば反射的に「栴檀は双葉よりも芳し」という言葉が思い浮かびますが、本当は白檀のことで、栴檀にはそれほど香りはありません。

古名を楝(おうち)といい、日本古来の色の楝色(おうちいろ)はこの花の色からきました。藤紫を少しくすませたような色といえばいいでしょうか。

樹高約7m、幹は四方に分枝し、葉は互生、大形で2~3回羽状複葉、初夏に円錐花序に淡紫色の小さい花をまばらにつけます。秋につける丸い実は落葉後も木に残り、数珠のように見えることから「センダマ」(千珠)と命名されたとか。

志賀島で見つけました。

 

「妹が見し楝の花は散りぬべしわが泣く涙いまだ干なくに」 万葉集 山上憶良