1月の薬草(ユズリハ)

明けましておめでとうございます。

この「今月の薬草」も5年目に突入です。毎月、頭を悩ませながらも何とか続いています。

そろそろお正月飾りも取れて、通常の生活に戻る時期ですが、正月飾りに欠かせないもののひとつにユズリハがあります。私の母は「つんのは」と言いますが、これは佐賀の方言でしょうか。鏡もちに昆布を敷いて、二つの餅の間には裏白(ウラジロ)をはさみ、楪(ユズリハ)、橙(ダイダイ)と乗せていきます。三宝に飾り付けるのは30日に決まっていました。29日は「苦持ち」、31日は「一夜飾り」と言って忌み嫌い、してはならないと言い聞かされました。

香椎浜にはたくさんのユズリハの木があります。新しい葉が出るまで古い葉は落ちない、代が途切れないと子孫繁栄を願い飾られたものです。

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ユズリハ(楪)Daphniphyllum macropodum   ユズリハ科

 

生薬名ユズリハ

中国名;交譲木(コウジョウボク)

生育場所:山地の林内に生える常緑高木

薬用部位:樹皮、葉

薬効と用い方:民間で駆虫、去痰、利尿に煎服

 

我が家では正月のお供え、餅の間にはウラジロ、餅と橙の間にユズリハを敷いて飾ってきました。ユズリハはその名の通り、春に若葉が出た後に前年の葉がそれに譲るように落葉するため、親が子供を育てて家が代々続くという縁起のいい植物です。

樹高4~10m、幹は直立し太く、その頂に先が尖って鋸歯のない長楕円形の葉をそう生します。初夏に葉えきに花柄を出し、小さな花を総状花序につけ、実は熟して青くなります。葉柄が赤みを帯びていて、それを中心に葉が広がっているのがよく目立ちます。

 

「しずかなる冬木のなかのゆずる葉ののほふ厚葉に紅のかなしさ」斉藤茂吉