読書日記その15「逃亡者」中村文則著

香色ともいうべき抑えたトーンでの表紙と奥付の装丁、しかし本を開くと眩しいばかりの真っ白の紙の頁が目に突き刺さってくる。

内容も何とも刺激的で、時代、場所を次々と変えて、いくつものストーリーが重なり合って展開する。中心には第二次大戦下、”熱狂″と呼ばれ、ある作戦を不穏な成功に導いたとされる美しきトランペットがある。

それを偶然手に入れた主人公の逃亡劇。そこに、キリシタン迫害、第二次世界大戦、そして現代の悪質留学生ビジネスまで入って来て・・・・

変な喩えかもしれないが、初めてクイーンのボヘミアンラプソディーを聞いたときのことを思い出した。

今はついていけないものを感じているが、やがて好きなものへと変化していくのだろうか・・・・