8月の薬草(カワラナデシコ)

立秋はとっくの昔、処暑も過ぎたというのに、「危険を感じるような暑さ」が続いている。

草木も少々疲れ気味で、朝夕の水やりもなかなかままならない。

この時期、樫原湿原に行ったときにはカワラナデシコが可憐に咲いていたよなあ・・・

大和撫子の言葉とともに、日本人にとっては身近な花だったはずのカワラナデシコだが、最近は河原で見ることはまずない。でも、心の奥底には記憶として残っているのか、気がついたら私の浴衣にも帯にも可憐な撫子の花が咲いていた。

あれ、よく見ると帯のナデシコは4弁の花になっている?? 実際は下の写真の通り5弁です。

 

 

でも、今年は連れ立っていく薬草観察はすべてキャンセル。

仕方がない。身近なところを見てみよう。私のベランダには園芸種のエゾカワラナデシコが2回目の花を咲かせたので、茶席の花とした。

 

 

カワラナデシコ(河原撫子)Dianthus superbus    ナデシコ科

生育場所:山地の草地に生える多年草

利用部位:全草;瞿麦(クバク)、種子;瞿麦子(クバクシ)

民間:利尿、通経に煎服

 

草丈50~100cm、茎は数本叢生して直立、葉は対生し、線形で尖って茎を抱いています。夏に上部でまばらに枝分かれしたその頂に薄紅色、または白色の花をつけます。

大和撫子は麗しき日本女性の代名詞ですが、中国から渡来した唐撫子(石竹)に対して、在来種をそう呼んだそうです。また、西洋ではこの仲間から品種改良が進みカーネーションが生まれました。わが子をなでるように可愛い花と「撫でし子」と、そして日当たりのよい河原によく見られることからの命名ですが、近年枝打ちをして人の手が適度に加わる里山の減少で、なかなか見られなくなっています。

秋の七草の一つで、万葉集にも撫子を詠んだ歌はたくさん残っています。

 

「久方の雨は降りしく撫子がいや初花に恋しき我が背」大伴家持

「草の花はなでしこ。唐のはさらなり、大和のもいとめでたし」枕草子 清少納言

 

樫原湿原で出会いました。