毎日NHKの「らんまん」を楽しみにしている。
主人公の万太郎は、もちろん我らが牧野富太郎をモデルにしているわけで、私のブログ「読書日記」にも書いた朝井まかての「ボタニカ」が土台となっているドラマだ。
植物の映像も素晴らしく、先日の「ヤッコソウ」の回では、初めて「ギンリョウソウ(幽霊茸)」を見たときの驚きを思い出した。
さて、毎日こうも暑いと水辺が恋しくなってしまう。水辺の景色と言えば蘆原、そこにハエやウグイなどたくさんの魚が泳ぎ、それを求めて鳥たちが集まってくる。そして、初夏には蛍が飛び交う・・・・
でも、そんな景色はなかなか見ることもできなくなってきている。特に近年珍しくなくなった水害の被害をみると、治水工事で護岸が塗り固められて行くことも致し方ないのか・・・・
人の手の入った里山がたくさんの生き物を育んできたように、更なる技術をもって人の暮らしと生き物の繫殖を両立させる未来が来て欲しいものだ。
アシ(葦)Phragmites australis イネ科
生育場所:沼、河岸に生える多年草
利用部位:根茎(蘆根(ロコン))、茎〈蘆茎(ロケイ)〉
民間薬:食中毒、黄疸、止血、便秘、しゃっくりに煎服
漢方処方:葦茎湯
「豊蘆原の瑞穂の国」日本。外国から帰ってきて、飛行機から見る日本の風景に思わずこのフレーズを思い起こします。それほど我が国は降雨量が多く、アシの生育に適しています。
泥の中に長く横たわる根茎から1~3mに中空で固い茎が立ち上がり、大型の細長い皮針形の葉は約50㎝で互生、初秋に茎の先に大型の円錐花序を出し、多数の小さい穂をつけますが、その穂ひとつに5個の花がつきます。
昔は河川の下流域、干潟の陸側に広大なヨシ原が日本中いたるところに見られました。そして、固い茎は簀の子、よしず、すだれ、天井張り、製紙、パルプの原料に使われます。また、ヨシ原は泥の中の生物の巻き貝やカニが育ち、それを求めて鳥たちが集まり、豊かな自然を育んできました。しかし、河川改修や埋め立てで失われてきています。
アシは「浅(あさ)」の変化とも言われますが、「悪し」にも通ずるため「善し」の別名を設けました。
「人間は考える葦である」パスカル
あまりにも有名な言葉です。
和歌の浦に潮みち来れば潟をなみ葦べをさして鶴(たづ)鳴きわたる 万葉集 山部赤人