薬草観察初心者に人気のヌルデ。その理由は、数の多さ、見分けやすさ、人間との関わりの深さ、季節ごとの変化など。私も、観察を始めてすぐから、このヌルデだけは、特徴的な葉の形から、見分けることができるようになりました。ウルシ科の特徴の奇数羽状複葉ですが、翼があることが見分けるポイントです。
私たちのホームグランドの三日月山や長谷ダムふれあいロードにたくさんありますが、今月は大野城いこいの森でたくさんのヌルデ、そしてその虫こぶや果実に粉を拭いた塩ぶしを見つけました。虫こぶを割ってみて、気持ちの悪いたくさんの虫を確認、果実もその味を確かめました。
薬草観察は五感を駆使して・・・・
ヌルデ(白膠木)Rhus javanica ウルシ科
生育場所:山野に生える落葉高木
利用部位:虫癭(虫こぶ);五倍子(ゴバイシ)、果実
民間薬:下痢、咳、痰に煎服
高さ5~10mにもなるこの木は奇数の羽状複葉、つまり小さな葉(小葉)のついた根元から全部がひとつの葉、そしてその中軸に翼を持っていることが特徴です。夏には小さな花をたくさん咲かせ、秋には美しい紅葉を見せてくれます。
これにできた虫こぶを五倍子(ゴバイシ)といいタンニンが豊富に含まれており、皮なめしや黒色染料、インキ、白髪染めの原料となります。タンニン酸、没食子酸の原料として、また昔は鉄と反応させてお歯黒にも使われたそうです。このタンニン、最近はポリフェノールの方がよく耳にするようになりました。
この虫こぶは、ヌルデの若芽にアブラムシ科のヌルデノミミフシアブラムシが寄生して卵を産みつけ、それが耳状にふくれて虫こぶになります。秋に虫こぶの殻を破って成虫が飛び出す前に採取し、熱湯に浸して殺虫して乾燥させたものが五倍子です。
また、果実には白く粉をふき、これは塩麩子(エンブシ)といいリンゴ酸カルシウムで昔は塩の代用としても使っていたそうです。