今年の夏はおかしい。
梅雨明けとともに暑い夏が、ほんの一時あったものの、子供たちが夏休みに入ると同時に、しとしとと雨が降り続き、なんとも気持ちが悪い。
8月に入ってからは、それに雷や豪雨、時に竜巻注意報もで加わって・・・・
蝉がうるさく鳴き、子供たちの声が聞こえ、肌を刺す日差しが照りつける、いつもの夏はどうしたんでしょう?
そうは言っても街路樹にはムクゲ(槿)やサルスベリ(百日紅)が咲き誇り、空地や荒地には葛の葉が恐ろしいほどに生い茂っています。
葛は奈良県の吉野葛、九州では秋月が有名ですが、葛湯、葛きりの繊細な美味しさから、もっと貴重な植物かと思っていました。
それにしても、他の木やフェンスにからまって、空へ空へと伸びてゆく葛が、この時期に咲かせる赤紫色の花は秋の七草のひとつで、青い空とのコントラストが素敵です。
今月の薬草は、薬草の王様、クズ(葛)をとりあげましょう。
クズ(葛)Pueraria lobata Ohwi マメ科
生薬名:(局)カッコン(葛根) 花:葛花(カッカ)
生育場所:山野に生えるつる性木本
利用部位:根、花
漢方処方
根:葛根湯、葛根湯加川芎辛夷、参蘇飲
花:葛花解醒湯
茎は基部が木質で長さは10mにも達します。葉は長い柄がある3出羽状複葉で先端の小葉は菱状で先がとがりときに3裂し、長さ10~15cm。初秋に咲く花は紅紫で多数、総状花序に密生させます。
長谷ふれあいロードの山側で見ることができます。
安倍の保名にまつわる信太の森の言い伝えでは、葛の葉が狐の姿を暗示します。
「恋しくはたづねきてみよ和泉なる信太の森のうらみくずの葉」
また、草木染めでは緑葉を使い、黄色、裏葉色に染めます。