11月の薬草(カキノキ)

この時期、たわわに実った柿の木を見ますが、そのたびに「静かな静かな里の秋」と、あのメロディーが浮かんでくるのは私だけでしょうか。里山の秋の風景に柿の木は欠かせません。そして、収穫の後、身近にいる鳥たちのために、そして、収穫をもたらせてくれる神様に感謝して、1,2個実を残す、木守り。本当に素敵な風習ですよね。
 
カキ(柿)Diospyros kaki カキノキ科
 
生薬名:カキノハ
生育場所:中国原産で平安時代から栽培されている落葉高木
利用部位:葉、蔕、柿渋
薬効と用い方:高血圧、動脈硬化、またビタミンCの補給にカキノハ茶として飲用、蔕はしゃっくりに

秋の味覚の代表、柿。最近は富有柿だけでなく1個500gもある甘い太秋柿も人気。実家の柿の木には小ぶりの実をたくさんつけますが、これが渋柿で、木枯らしが吹き始めるころ皮をむいて蔕のところを紐でつなげて、軒下につるして干し柿をつくることは、母の楽しみです。このように、古くから里山で栽培された柿の木は日本人の秋の原風景に欠かせない樹木です。
樹高6~9m、葉は互生し、長楕円形で先は尖って裏面には灰白色の短毛を密生しています。雌雄同株で雌花は花弁が4枚、先が4つに分かれた雌蕊をもって葉えきに点々と、雄花は雌花より小さく固まって、6月頃黄白色の地味な花を咲かせます。
枝は折れやすく、昔から「危ないので柿の木には上ってはいけない」と言われています。しかし、木質は緻密で堅いので、家具や茶道具などにはよく用いられています。また、ゴルフクラブのヘッドに柿材を用いたものはパーシモンと呼ばれてその美しさもあってゴルファーの憧れでした。
また、柿渋を紙に塗ると耐水性を持たせることができ、団扇や和傘に塗られています。