12月の薬草(ヤツデ)

年もおしつまり、なんとも気ぜわしい季節です。
野山も、葉をほとんど落としてしまった落葉樹、草木も枯れて、何とも寂しい色合いです。

そんな中、香椎浜そばの御島崎の森には常緑樹のヤツデが白いまりのような花を咲かせています。

 

ヤツデ(八手)Fatsia japonica   ウコギ科

 

中国名:八角金盤(ハッカクキンバン)
生育場所:海岸の林に生える常緑低木
薬用部位:葉
薬効と用い方:有毒

ヤツデといえば、掌を広げたような深い裂のある葉が思い浮かぶでしょう。香椎の御島の保護林でもたくさん見ることができます。その名の通り掌に裂けた葉を持ちますが、8つに裂けることはなく7つか9つの奇数です。縁起のいい八と数えて八手と名づけたとか。別名を、天狗の羽団扇といい、厄除けに用いられることもあります。
樹高2~3m、幹は数本をそう生し、まばらに枝分かれして、葉は互生、長い柄を持った掌状に7~9深裂した葉が、茎の先端部に集まってついています。秋に黄白色の小さな花を茎の先端に球形に咲かせます。
葉にはヤツデサポニンという物質が含まれ、過剰摂取すると嘔吐、下痢、溶血を引き起こします。そのため蛆用の殺虫剤として使われていたこともあり、昔の汲取り式の便所のそばにはこの木が植えてありました。