11月の薬草(サネカズラ)

このブログで今月の薬草を書き始めて10年余り。

花の少ないこの季節、いよいよ書くものがなくなった・・・・

と思っていたら、友人からは自家受粉したビナンカズラがたくさん実ってるとのメール。「そうだ。大好きなサネカズラがまだだった」

四王寺の麓の池のそばで、初めてこの真っ赤で大きな実を見たときの喜びは忘れられません。先日の薬草観察では油山で見ることが出来ました。

このなに目立つ実をつけるのに、花はとても密やかで。その対比もこの草に惹かれる理由かもしれません。

サネカズラ(実蔓)Kadsura japonica    マツブサ科

生育場所:山地に生える常緑つる性木本

利用部位:果実;南五味子(ナンゴミシ)

民間薬:滋養強壮、咳止めに実を煎服。薬用酒は精を養い強壮に役立ち咳を鎮める。

昔、髷を結う男性の整髪料として用いられたことから美男蔓(ビナンカズラ)ともいいます。雌雄異花で夏に葉の付け根に隠れるように咲くのでなかなか見つけられませんが、11月ごろには小さな粒々の実をつけ真っ赤に熟し、こうなるとよく目立ちます。茎径は太いもので2cmになり、葉は互生で有柄、楕円形で光沢があります。

長谷ダムふれあいロードのフェンス越しに見ることができます。また、四王子では群生もみられます。

百人一首、三条右大臣の

「名にしおあば逢坂山のさねかずら人に知られで知るよしもがな」

はこの花の密やかさが秘密の恋を連想させたのでしょう。